不正競争防止法(7)
2014.02.26 10:00
<不正競争防止法の保護対象である「商品の形態」とは >
・不正競争防止法 第2条第1項第3号
他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
1.「商品の形態」については、同法2条4項に「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう」と定義しています。
したがって、「商品の形態」には、外観及び外部の形状に限らず、需要者において観察、確認できる内部構造も含まれる。また、商品の形状に加えて、これと結合した模様、色彩光沢及び質感が含まれます。
なお、商品の形態を離れたアイデアそれ自体については、本号の「商品の形態」にあたらないと解されています。
・宅配鮨事件
(東京地裁 平成13年9月6日判決 平成12年(ワ)第17401号)
容器の形状やこれに詰められた複数の鮨の組み合わせ・配置に、従来の宅配鮨に見られないような独自の特徴が存するような場合(例えば、奇抜な形状の容器を用いた場合、特定の文字や図柄など何らかの特徴的な模様を描くように複数の鮨を配置した場合)は、不正競争防止法の保護対象である「商品の形態」となり得ると判断した事例
・小型ショルダーバッグ事件
(東京高裁 平成13年9月26日判決 平成13年(ネ)第1073号)
実質的な小型ショルダーバッグにおいては、需要者は、その内部構造も観察、確認するなどした上で購入するかどうかを決定するのが通常であると考えられる」として、商品の外観だけでなく、需要者に容易に認識しうる商品の内部構造まで「商品の形態」に含めて認定した事例
・ドレンホース事件
(大阪地裁 平成8年11月28日判決 平成6年(ワ)第12186号)
商品の機能、性能を実現するための構造は、それが外観に顕れる場合は「商品の形態」になり得るが、外観に顕れない内部構造にとどまる限りは「商品の形態」に当たらないとした事例
2.本号では、商品形態模倣行為における商品形態について、「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く」と規定しています。機能確保に不可欠な形態につては、これを採用しなければ商品として成立しえず市場参入できないものであるため、これを特定の者に独占させることは不適切であり、また技術的思想の保護にもつながるため、適用除外としています。
・ピアス孔保護具事件
(東京地裁 平成9年3月7日判決 平成6年(ワ)第22885号)
たとえ他人の商品が、極めて斬新で、機能及び効用が同一の商品も類似の商品も見いだせない場合においても、その商品の形態がその機能及び効用を奏するためには不可避的に採用しなければならない形態である場合、その形態は同種商品が通常有する形態に該当するとした事例

