カテゴリー:知財関連
TPP参加による知財関連分野への影響 「模倣撲滅 中韓に圧力も」
2013.04.24 14:28
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉では、知的財産も重要なテーマとなっている。著作権や特許権などを守るルールや、模倣品などの取り締まりについて協議している。コピー商品の横行や技術流出に悩む日本企業にとって、重要な分野と言える。
TPP交渉で知的財産保護のルールが整備されれば、アジア太平洋地域の基準となる公算が大きい。そうなれば、中国や韓国といった交渉に参加していない国など「周辺地域に圧力として波及する」(政府高官)との見方もある。
交渉参加国の中では、米国が知的財産保護に熱心だ。すでに薬の特許強化や、著作権が及ぶ期間の延長などを提案している。
薬の特許権が強化されると、特許切れの後、他の製薬会社が同じ有効成分で作る安価な「後発医薬品(ジェネリック)」を販売しにくくなるとの指摘がある。
読売新聞 2013年4月19日 朝刊
最近、TVや新聞等でTPP参加による農業分野や国民皆保険制度への影響が話題となっていますが、知財関連分野にも影響があるようです。2011年2月10日付の流出文書(米国提案)によると、米国が参加国に対して知的財産権の保護強化を要求してくることが予想されています。
具体的には、以下のような要求等が含まれているようです。
<著作権の保護期間の延長>
「死後50年」から「死後70年」に延長しようというものです。
TPP交渉参加国では既に70年が多数派のようです。
<著作権侵害の非親告罪化>
現在、日本では、警察が海賊版のアップロードや販売を摘発しても、著作権者などの被害者が告訴しなければ著作権侵害を罪に問うことができませんが、非親告罪化すると著作権者の意志に関係なく起訴したり処罰したりできるようになります。
<法定損害賠償金の導入>
法定損害賠償とは、実損害の有無の証明がなくても、裁判所が(ペナルティ的な要素を含んだ)賠償金額を決められる制度です。TPP交渉において、こういった米国の知財保護要求が認められますと、国内で安価に入手できているコンテンツが手に入りにくくなるというデメリットはあります。しかしながら、日本も、米国同様、生み出した知的財産で利益を上げていかなければならない時代に突入したことを考えると、知的財産権の保護強化は日本にとっても好ましいことであり、世界に通用する価値ある知的財産を生み出すことができるか否かが今後の日本を左右する重要なポイントになると考えます。
弁理士 西村陽一
商標権侵害 賠償額を増額 大阪高裁「堂島ロール」訴訟
2013.03.26 10:00
神戸市の洋菓子メーカー「ゴンチャロフ製菓」が自社商品「モンシュシュ」と同じ名称をマークに使われたとして、「堂島ロール」で知られる大阪市の洋菓子製造販売会社「モンシェール」(旧モンシュシュ)にマークの使用差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決が7日、大阪高裁であった。小松一雄裁判長は「モ社はマークの名称を変更した」として差し止め請求を棄却したうえで、1審判決後も商標権侵害の期間があったことから、賠償額を約5100万円に増額した。
2011年6月の1審・大阪地裁判決は、モ社の商標権侵害を認め、包装紙や看板マーク使用を禁止し、約3500万円の賠償を命じていた。
判決では、ゴ社は1981年、仏語で「私のお気に入り」を意味する「モンシュシュ」を商標登録し、チョコレートの名称にした。モ社は2003年に設立後、モンシュシュのマークを使用してきたが、昨年7月、「私のいとしい人」の意味の現屋号「モンシェール」に変更し、これに合わせてマークも変えた。
読売新聞 2013年3月8日 朝刊本件は、他人の権利を尊重しなければ、痛い目に遭うということを如実に示しており、事業者はこれを教訓としなければならない。
事業者が社名や商品名を決定する際は、商標調査を行い、他人の商標権を侵害しないような名称を選択すべきである。そして、決定した名称については直ちに商標出願を行い、名称使用の初期段階で登録しておくべきである。
モンシェール社のように、有名になったときに権利侵害として訴えられ、名称を変更しなければならないリスクと、権利取得に要する費用とを考慮すると、「有名になってから登録すればよい」という考えは捨てたほうがよいといわざるを得ない。
弁理士 西村陽一
中国における権利行使
2013.03.20 10:00
中国における知的財産権侵害に対する権利行使は、行政機関に求める行政救済ルート(行政摘発)と裁判所に求める司法救済ルート(民事訴訟)の二つのルートが存在する。利用頻度が高いのは行政取締りであり、2010年では、行政機関への取締要請2,972件中、行政摘発件数は2,631件であった。ちなみに、2009年の民事訴訟提起件数は32件であった。
<行政救済ルート>
●代表的な行政取締り機関
・地方商工行政管理局(AIC)
商標法及び不正競争防止法に基づき取締りを行う。
商標権侵害
知名商品特有の名称、包装、装飾の模倣品
・地方質量技術管理局(TSB)
製品質量法を根拠に、消費者保護の観点から模倣品取締りを行う。
原産地の詐称、他人の工場名・工場住所の詐称・盗用など
偽物の混合、偽物を本物と代替するなど
・海関
模倣品の海外輸出を取締りを行う。
・知識産権局(IPO)
専利法に基づき取締りを行う。
特許権侵害、意匠権侵害、実用新案権侵害は、国家知識産権局(SIPO)の下部機関である地方知識産権局(APPA)が取り扱う。
<司法救済ルート>
●司法機関
中国の司法機関である人民法院は、「最高人民法院」、「高級人民法院」、「中級人民法院」、「基層人民法院」から構成される。
中国では、日本の「三審制」とは異なり、「二審制」が採用されており、知的財産権の侵害事件は、通常、中級人民法院が第一審となり、上級審にあたる高級人民法院が第二審(最終審)となるが、重大な影響を及ぼす事件は、高級人民法院を第一審とすることができる。
<行政救済ルートと司法救済ルートの比較>
行政ルート(AIC,TSB)〔商標権侵害〕、行政ルート(IPO)〔特許権・実用新案権・意匠権侵害〕及び司法ルート〔民事訴訟〕を比較すると、以下の通りである。
1.処罰
・行政ルート(AIC,TSB):模倣品の没収・廃棄、製造販売行為の停止、罰金
・行政ルート(IPO) :侵害行為の停止命令、損害賠償の調停
・司法ルート :損害賠償(強制執行可能)、侵害の停止
2.時間
・行政ルート(AIC,TSB):比較的早い(1~6か月程度)
・行政ルート(IPO) :訴訟よりは早い
・司法ルート :長時間を要する(一審は1年程度、二審は半年程度)
3.費用
・行政ルート(AIC,TSB):比較的安価(50~100万円前後)
・行政ルート(IPO) :訴訟よりは安価
・司法ルート :高価(数百~一千万円程度)
4.手続
・行政ルート(AIC,TSB):比較的簡単
・行政ルート(IPO) :訴訟とほぼ同様
・司法ルート :難しい
5.証拠
・行政ルート(AIC,TSB):比較的厳格ではない
・行政ルート(IPO) :訴訟とほぼ同様
・司法ルート :厳格に制限される
中国進出時の失敗事例(3)
2013.03.13 10:00
●技術ノウハウ関連
・引き合いがあり、技術資料を渡したら、その後進展がなく、模倣品が出た
・展示会でカタログを配布したら、模倣品が出た
<対応策>
営業秘密の管理を徹底することが重要。
中国における営業秘密の認定要件は日本と概ね同じであり、営業秘密として法的保護を受けるためには、以下の3要件を満足する必要がある。
[ 営業秘密としての認定要件 ]
1.公知でないこと
その情報が公開ルートから直接得ることができないことが必要。
具体的には、
①営業秘密の所有者が主観的に秘密保持の意思を備えていること
②営業秘密が客観的に公衆に知られていないこと
2.権利者に経済的な利益をもたらすことができ、実用性があること
①価値性
経済的価値、即ち、権利者に現実的または潜在的な経済的利益または競争の優位性をもたらす価値を有していることが必要。
→現実に存在する経済的価値と、繊細的な価値の双方を含む
→所有者が実用的価値を認識するだけでなく、客観的に見ても実用的価値を備えていなければならない
②実用性
その内容としての技術情報及び経営情報が生産及び経営において応用でき、かつ積極的な効果を生むことができなければならない。
3.権利者が秘密保持措置を講じること
その情報を客観的に秘密として管理していると認識できる状態にあることが必要。
具体的には、
①情報にアクセスできる者を特定すること
②情報にアクセスしたものが、それを秘密であると認識できること
従って、
① 秘密保持契約をしないで秘密情報を渡すと、公開されても文句は言えない。
② 展示会で技術資料を配布すると、営業秘密ではなくなる。
③ リバースエンジニアリングできるような技術は営業秘密に当たらない。
④ ノウハウの流出を懸念して日本だけに特許出願をしても、海外から自由に閲覧することができるので、ノウハウは出願せずに秘密に管理するほうがよい。
中国進出時の失敗事例(2)
2013.03.06 10:00
●知的財産登録関連
・特許、実用新案、意匠に関し、日本国内で出願または権利取得しているが、中国で登録ができない
・中国国内で知的財産権を取得していないので、ライセンスできない
・中国国内で知的財産権を取得していないので、模倣品対策ができない
<対応策>
中国進出企業は、『知的財産権を取得するには、種々の要件を満足する必要がある』ことを認識しておくことが重要。
① 属地主義
特許権、意匠権、商標権等の知的財産権は各国毎に権利が発生し、その権利は、その国の国内だけで有効である。
→日本国で取得した知的財産権の効力は中国国内に及ばない。
② 先願主義
技術やデザインについての独占権(特許権・実用新案権、意匠権)取得に関し、殆どの国においては、同一の技術、同一・類似のデザインについて先に出願した者に権利が付与されるという先願主義が採用されている。
→発明が完成していても競合他社に先に出願されてしまうと、同一発明について特許権を取得することできなくなる。
③ 新規性(世界公知、新規性喪失の例外)
技術やデザインについての独占権を取得するには、その技術やデザインが世界的に新規である必要がある。
→自らが日本国内で公にした技術やデザインについては、中国で特許権や意匠権を取得することができない。公表前に各国で出願しておくのが原則。
ただし、新技術を展示会に出展したり、業界紙に掲載した場合は、所定の条件下、新規性を喪失しなかったものとみなされる場合があり、その場合は、所定期間内に出願が認められる。
→新規性喪失の例外規定の適用条件は各国毎に異なるので、注意を要する。
④ パリ条約上の優先権を主張した外国出願
日本国内に出願した後、1年以内にパリ条約上の優先権を主張して外国に出願すると、日本出願と同日にその国に出願したものとして取り扱ってもらえる。
→外国への出願準備期間を考慮すると、日本出願後、数か月以内に外国出願を行うか否かの決定をしなければならない。
⑤ 国際出願
日本国特許庁に国際特許出願をすると、その出願日に世界各国に出願したものと認められる。ただし、出願後30か月(2年6か月)以内に権利取得を希望する国への移行手続き(その国の公用語に翻訳した出願書類を提出する手続き)を行わなければ、その国については、出願が取り下げられたものとみなされる。
→パリ条約上の優先権を主張した外国出願する場合に比べて、外国での権利取得の検討期間を延ばすことができる(メリット1)。
→日本国特許庁が作成する国際調査報告を受け取ることができるので、各国における権利化の可能性を事前に判断することができ、各国に移行すべきか否かの指針とすることができると共に、その後の戦略を策定することができる(メリット2)。
→通常の日本出願に比べて費用が高い(デメリット)。
中国進出時の失敗事例(1)
2013.02.27 10:00
●現地販売代理店関連
・現地販売代理店に商標登録を任せたら、代理店名義で商標登録されてしまった
<対応策>
中国語で記載された書類に闇雲に署名、捺印しない。
出願権の譲渡証と出願の委任状とでは意味が全く違うので、書類の内容を確認した上で捺印することが重要。
※出願権の譲渡証に署名、捺印してしまうと、取り返しのつかないことになる。
・販売代理契約に商標使用の約定がないため、商標を勝手に使われてしまった。
<対応策>
看板、カタログ等、どこまでの使用を許諾するのかを契約書に明確に定めておく。
また、現地販売代理店が名刺に日本企業のロゴを印刷したり、自社のロゴと日本企業のロゴとを並記したりする(ジョイントブランド)ことがあるので、契約書には商標の使用の態様まで規定しておくことが重要。
・代理店募集の広告を出したら、勝手に商標登録されてしまった。
<対応策>
現地代理店を募集する前に、中国において商標等の出願手続きを済ませておく。
中国特許出願の優先審査について
2013.02.20 10:00
中国知識産権局(SIPO)は、2012年8月1日より発明特許出願の優先審査制度を実施しており、下記(1)~(4)に関連する発明特許出願に限り、優先審査の申請が認められている。
(1) 省エネルギー環境保護、新世代通信技術、バイオテクノロジー、ハイエンド設備製造、新エネルギー、新素材、新エネルギー自動車等の技術分野にかかわる重要特許出願
(2) 低炭素技術、資源節約等、グリーン発展に寄与する技術にかかわる重要特許出願
(3) 同一の主題について先ず中国において特許出願され、その後、他の国家・地域で特許出願された特許の中国での最初の出願
(4) その他、国家または公共の利益に重大な意義があり、優先審査が必要な特許出願
・優先審査の申請が認められた場合、中国知識産権局は、優先審査の認可日より30日(勤務日)以内に第一回審査意見通知書を発行する。
・優先審査された発明特許出願の審査意見通知書への応答期限は 2ヶ月。出願人がその応答期限を延期する場合、優先審査は中止となる。
・優先審査は、当該優先審査の申請が認められた日から一年以内に結審する。
米国特許庁、最終審査ガイドラインと施行規則を発表(速報)
2013.02.15 10:36
米国特許庁は先願主義と先公表主義に係わる最終審査ガイドラインと施行規則を発表した。
それによると主な変更点は以下の点である。
1.公表とその後の第3者の発表の主題は完全に一致している必要はない
・発表者がA+B+Cを公表してから出願し、第3者がその出願前にA+B+C+Dを発表(あるいは米国出願)した場合、第3者のA+B+Cの部分は先行技術にならず、Dのみが先行技術になる
・発明者が化合物A(スピーシーズ)を公表して出願し、第3者がその出願前に上位概念を発表(あるいは米国出願)した場合は上位概念は先行技術にならない
・発明者が上位概念を公表し、第3者が化合物A(スピーシーズ)を発表(あるいは米国出願)した場合は、化合物A(スピーシーズ)は先行技術となる
・このような発明者の公表と第3者の発表(米国出願)の比較においては、発明者の出願のクレームは一切関係がない2.2013年3月16日以降の出願
・その出願は、有効出願日が3月16日以降であるクレームが1つでも、いかなるときにでもあれば新法適用となる。そのクレームが審査でキャンセルされても新法適用となる
・新法適用の出願から現行法適用のクレームのみを分割しても新法適用となる
・RCEとPCT国内移行出願はいかなるクレームでも現行法適用である(そもそも新規事項があることはありえないので)
・PCT出願を国内移行でなく、継続出願するか一部継続出願した場合は有効出願日が新しいクレームが1つであるかによって新法適用か現行法適用かが決定される
・新法適用となるクレームがある場合は、出願から4ヶ月以内(優先権主張出願の場合は元の出願から16ヶ月以内)にその旨の供述書を提出しなければならない
・そのようなクレームがないと出願人がリーゾナブルに信ずる場合は、そのような供述書を提出する必要はない
(注:原案には明細書に新規事項が追加されたが、クレームにはない場合にも供述書を提出することが義務付けられていたが、それは削除されている模様である)3.その他の点では特別の修正はみらえないようであるが、現在検討中である
出所 WHDA法律事務所「米国特許ニュース(2013年2月14日)」より
「あずきバー」井村屋に商標
2013.01.25 14:53
知財高裁判決 特許庁の審決取り消し
菓子会社「井村屋グループ」(津市)が主力商品のアイス「あずきバー」=写真、同グループ提供=の商標登録を認めなかった特許庁の審決の取り消しを求めた訴訟で、知財高裁(土肥章大裁判長)は24日、「高い知名度を獲得しており、商標登録できる」として審決取り消しを命じる判決を言い渡した。
井村屋側は2010年に商標登録出願したが、特許庁から「他社のアイスでも「あずきバー」の名称が使われており、識別できない」などとして退けられた。判決は、井村屋の「あずきバー」販売が1972年に始まり、2010年度には2億5800万本を売り上げ、全国の小売店で販売されていることなどから、「井村屋の商品を指すものとして一般的に認識されており、商標登録の要件を満たしている」と結論づけた。
読売新聞 2013年1月25日 朝刊商標法では、商標の本来的機能である自他商品識別力のない商標を規定しており、そういった商標の登録を認めていない。
具体的には、
1.商品やサービスの普通名称(略称や俗称も含む)
2.慣用商標(商品やサービスについて慣用的に使用されている商標)
3.記述商標(商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途やサービスの提供場所、質等を表示する商標)
4.ありふれた氏または名称
5.極めて簡単で、かつ、ありふれた商標
に分類されており、さらに、1~5に該当する場合であっても、商標の使用によって自他商品識別力が発生するに至った場合は、登録を受けることができるとしている。今回の事件では、「記述商標」に該当するとして、特許庁において登録が認められなかった「あずきバー」という商標に対して、販売年数、販売本数及び販売地域等を考慮すると、商標の使用により識別力が発生するに至ったものと知財高裁判決が認定したということになる。
弁理士 西村陽一
中国商標局1月1日より「薬剤関係の小売役務」の受付を開始
2013.01.24 10:43
これまで、中国では、商標登録出願において小売役務を指定することはできませんでしたが、昨年12月14日付で、中国商標局のホームページにおいて、「本年1月1日よ『薬剤関係の小売役務』の受付を開始する。」との発表がありました。
ただし、対象となる小売役務は、「薬用、獣薬用、衛生用製剤と医療用品」です。
また、日本とは異なり、小売役務とその該当商品とは原則として類似しないという取り扱いになります。従いまして、これまで、商品分野で取得していた権利では小売の出願を排除できないことになりますので、ご注意ください。
また、2013年1月1日~1月31日の期間中に、同一または類似する新規役務について提出さる登録出願は、同日に出願されたとみなす、という「出願の特例」が設けられています。従いまして、1月31日までに出願を行えば、製薬会社の商品商標が、第三者による薬剤等の小売商標で先取りされるような事態は防止できます。なお、これらの小売又は卸売の役務について商標登録を受けるためには、出願人が指定した小売又役務が、当局の営業許可書における営業範囲と一致している必要がありますが、日本法人の場合は、会社登記簿において、「薬品・薬物などの小売又は卸売り、販売」等が経営目的に含まれていれば、小売卸売役務の出願が可能とのことです。
以下に、JETRO北京事務所にて作成された日本語仮訳を掲載します。
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新規小売または卸売役務の商標登録出願関連事項に関する通達2012年12月14日 出所:国家工商行政管理総局商標局
2013年1月1日より実施される『商標登録用商品・役務国際分類』第十版2013修正版は第35類に「薬用、獣医用、衛生用製剤および医療用品の小売または卸売役務」という項目を追加した。すでに使用された商標権者の利益を一層守り、安定的市場秩序を維持するために、当局は検討の上、新規役務項目を受理する過渡期を設けた。新規役務項目および過渡期に関する事項について以下のとおり知らせる。
一、新規役務及びその定義
(一)『商標登録用商品・役務国際分類』修正版に基づき、『類似商品・役務区分表』類似群3509において「薬用、獣医用、衛生用製剤および医療用品の小売または卸売役務」、「薬品の小売または卸売役務」、「薬用製剤の小売または卸売役務」、「衛生製剤の小売または卸売役務」、「医療用品の小売または卸売役務」、「動物用薬剤の小売または卸売役務」および「獣医用製剤の小売または卸売役務」の計7つの新規役務項目を設けた。
(二)新設役務は小売または卸売役務であり、顧客が見て購入できるように、薬品、薬用製剤、衛生製剤、医療用品、動物用薬剤、獣医用製剤等の商品を集約し、分類すること(輸送を除く)を指す。当該役務は、顧客が購入するよう促すために提供する役務の集合であり、伝統的な実店舗、若しくはインターネット上の販売プラットフォームを通じて提供することができる。新設役務商標登録の保護しようとする対象は上記の具体的な商品ではなく、当該商品を販売するために提供する総合的な、便利な役務行為である。
二、新規役務商標の出願
(一)出願人は、7つの新規役務項目の標準的名称で登録出願しなければならない。
(二)出願人の指定項目は新規役務の範疇を超えてはならない。
(三)下記の表現は新規役務項目の標準的名称でないため、当局は受理しない。
1、小売または卸売役務。
2、薬品の小売または卸売。
3、薬品名称の小売または卸売役務。
4、某ブランド薬品の小売または卸売役務。
5、薬品の小売または卸売情報を提供する。
6、薬品の小売において顧客に無料のコンサルタント役務を提供する。
7、医療機構により調合される製剤の小売または卸売役務。
8、その他の新規役務項目の標準的名称でない場合。三、新規役務の類似関係
(一)新規役務同士の類似関係
1、「薬用、獣医用、衛生用製剤および医療用品の小売または卸売役務」と「薬品の小売または卸売役務」、「薬用製剤の小売または卸売役務」、「衛生製剤の小売または卸売役務」、「医療用品の小売または卸売役務」、「動物用薬剤の小売または卸売役務」、「獣医用製剤の小売または卸売役務」とは原則として類似する。
2、「薬品の小売または卸売役務」、「薬用製剤の小売または卸売役務」、「衛生製剤の小売または卸売役務」、「医療用品の小売または卸売役務」の四項目の役務同士は原則として類似する。
3、「薬品の小売または卸売役務」、「薬用製剤の小売または卸売役務」、「衛生製剤の小売または卸売役務」、「医療用品の小売または卸売役務」と「動物用薬剤の小売または卸売役務」、「獣医用製剤の小売または卸売役務」とは原則として類似しない。
4、「動物用薬剤の小売または卸売役務」と「獣医用製剤の小売または卸売役務」とは原則として類似する。
(二)新規役務とその他の商品または役務との類似関係
1、新規役務とその販売する商品とは原則として類似しない。
2、新規役務と「他人のために販促する」など第35類のその他の役務とは原則として類似しない。四、過渡期の規定
当局は、1993年の役務商標の受理経験を参考に、2013年1月1日より1月31日までの期間を登録出願の過渡期として定めた。この期間中、同一または類似する新規役務について提出される登録出願は、同日に出願されたとみなす。出願日は当局が出願書を受領した日とする。過渡期内に登録出願した新規役務商標について以下の措置を講ずる。
(一)インターネットによる出願は受理しない。
(二)出願人が指定する新規役務項目の範囲は営業許可証における経営許可範囲と一致しなければならない。
(三)通常は、以下の原則により商標専用権を決める。同日出願したものについて、先使用者の商標を初歩審定する。同日使用、或いはいずれも未使用の場合、当事者の協議により解決する。決まった期間内に協議したくない又は協議が成立しない場合、抽選で決める。
新規役務商標が既に使用されたとは、2013年1月1日までに既に指定した新規役務項目において公式に、実際に使用されたことを指す。上記の規定は、過渡期内に当局で行われる新規役務商標の登録出願のみに適用する。
商標局
2012年12月14日
出所:
2012年12月14日付け国家工商行政管理総局商標局ホームページを基に、JETRO北京事務所にて日本語仮訳を作成。http://sbj.saic.gov.cn/tz/201212/t20121214_131924.html
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