「じぇじぇじぇ」商標出願 ロケ地・岩手の菓子店
2013.12.04 10:00

9月に放送が終了したNHK連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地となった岩手県久慈市の老舗菓子店が、ドラマがきっかけで流行した方言「じぇじぇじぇ」を特許庁に商標出願中だ。市外の業者に先に商標登録され、トラブルになるのを防ぐためで、独占する意図はないとしている。
出願したのは1930年創業の「沢菊」。同市小袖地区で驚きを表現する「じぇじぇじぇ」がドラマに登場したのを受け、5月初旬に方言を冠した焼き菓子を発売し、5月10日に菓子の分野で「じぇじぇじぇ」と「ジェジェジェ」を」商標出願した。同社の宮沢陽一社長は「他店にも自由に使ってもらい、久慈を盛り上げてほしい」と話している。
読売新聞 2013年11月14日 朝刊
ドラマで使われて広く認知されるようになった流行語を、直接、関係ない第三者が商標出願することに道義的な問題あると指摘する専門家もいるようです。
しかしながら、「じぇじぇじぇ」は東北地方で一般的に使用されている感嘆を表す言葉であり、それが特定の商品(菓子)について広く使用されていないのであれば、その言葉自体がNHKのドラマで有名になったからといって、菓子に使用する商標として一私人に独占させることは、特に問題がないものと考えます。
私も、以前、NHKのドラマの舞台となった地域の活性化のために行っているプロジェクトの名称を、そのプロジェクト参加者である飲食店の経営者の方からの依頼により商標出願したことがありました。
その方も、「じぇじぇじぇ」の出願人と同様に、その名称を自社で独占する意図はなく、そのプロジェクトの名称を他の地域の人たちに使用されたくないという思いで、とりあえず代表して自社で権利化しようと考えておられました。
商標出願の審査段階では、プロジェクトとの関係が認められない出願人が自己の商標として採択することは、プロジェクトの名称を使用した観光振興や地域おこしなどの公益的施策の遂行を阻害することになるとして、公序良俗違反として拒絶理由通知が出されましたが、審査官と協議した結果、プロジェクトの参加者全員の承諾が得られれば、公序良俗違反の拒絶理由は解消されるとのことでしたので、参加者の承諾を得る作業を行われたようですが、結局、参加者全員の承諾を得るまでに時間がかかりすぎるということで、権利化を断念されました。
特定の名称を使用して観光振興や地域おこしなどの公益的施策を行う場合は、その名称をどのようにして保護するかを地域全体で考えていく必要があると思います。
弁理士 西村陽一

