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TPP知財分野合意へ 日米など12カ国著作権保護「70年」

2014.05.21 10:00

TPP知財分野合意へ 日米など12カ国著作権保護「70年」

太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加している日米など12か国が、音楽や小説の著作権の保護期間を70年に統一することで合意する見通しになった。新薬を開発した企業が市場を独占できる「データ保護期間」は、先進国は10年程度、新興国は5年以下と、新興国側に配慮した案で決着する見込みだ。難航分野の一つである知的財産分野の交渉にめどがつき、TPP交渉全体が妥協へ向けてさらに前進する。
TPP交渉で、米国は、自国と同じ70年に統一することを提案していた。映画や音楽などを海外に輸出して著作権収入を長い間稼ぎたいためだ。これに対し、日本は関税協議で米国と対立していたため、交渉戦術上、最終的な判断は保留していたが、4月の日米協議の実質合意を受け、70年への統一に応じる方針に転じた。
ただ、日本は映画については例外的に保護期間を公開後70年としており、過去の名作映画などのDVD販売や放送・配信には大きな影響はないとみられる。
一方、マレーシアやベトナムなどの新興国は著作権料の支払いが増えることを懸念して70年への統一に反対していたが、交渉を主導する日米の足並みがそろったことで、異議を唱えにくくなった。新薬のデータ保護期間について米国が譲歩したため、著作権で新興国側が譲った面もある。
読売新聞 2013年9月14日 朝刊

「データ保護期間」について、先進国は10年程度、新興国は5年以下で決着するようですが、医薬品等の「データ保護制度」について簡単に説明しておきます。

まず、医薬品等の一部の分野では、安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可等を得るにあたり所要の試験・審査等に相当の長期間を要するため、その間はたとえ特許権が存続していても、医薬品等を独占的に製造販売することができないといった問題があります。
このため、日本では、特許権の存続期間の延長制度が設けられており、医薬品の臨床試験や承認審査によって特許発明を実施できなかった期間を上限5年により補償(延長)しています。なお、本制度によって得られる医薬品特許の実質特許期間(EPL)は平均で約11年であるといわれています。

また、新薬メーカーは、上述しましたように、規制当局による承認を得るために必要な試験を行う必要がありますが、その試験を行うための費用が高騰し、承認の取得もより困難になっていくにつれ、試験データそのものが、特許等の伝統的な知的財産権と同様の排他権による保護を与えることも可能なほど貴重な資産となってきています。
ジェネリック医薬品の申請者であるジェネリック医薬品メーカーが、新薬メーカーが販売承認を得るために規制当局に提供したデータを直接的又は間接的に使用することができるとすると、ジェネリック医薬品メーカーが新薬メーカーの行った努力に「ただ乗り」するという結果となり、両者間の公平性を欠くということで、新薬メーカーを保護するために、欧米においては、それらのデータに対し一定期間の保護を与えています。
一方、日本においては、このようなデータ保護制度はありませんが、新薬の承認後も引き続いて医薬品の調査を開発会社に行わせ、承認時に指定された調査期間(再審査期間)後に、その安全性等の再審査を行うという「再審査制度」があり、
先発医薬品が再審査期間中にある場合は、ジェネリック医薬品であっても承認申請にあたって先発医薬品と同等の資料が要求されるため、再審査が終了するまではジェネリック医薬品の承認申請は実質的にはできません。なお、現在、日本においても、このデータ保護制度の導入についてその検討が行われているようです。

ここで、特許権の存続期間とデータ保護期間とのバランスが問題となってきます。
弁理士 西村陽一

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