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コンピュータ・ソフトウエアの保護(5)

2014.04.30 10:00

<コンピュータ・ソフトウエア関連発明の保護>

今回は、計算方法及び計算装置という数学分野の発明を例に挙げながら、特許法上の「発明」に該当するか否かの判断がどのようになされるかについてご説明します。

 

<特許を請求する発明1>

コンピュータを用いて、

自然数nとm(ただし、1≦n≦m<256)との乗算sを、

 s={(m+n)2-(m-n)2}/4

によって計算する計算方法。

<結論>

特許法上の「発明」には該当しない

<理由>

数式の計算そのものであり、自然法則を利用していないので、「発明」に該当しない

 ※一般審査基準を適用した判断

 

<特許を請求する発明2>

コンピュータを用いて、

自然数nとm(ただし、1≦n≦m<256)との乗算sを、

 s={(m+n)2-(m-n)2}/4

によって計算する計算装置

<結論>

特許法上の「発明」には該当しない

<理由>

計算装置で計算するというだけでは、計算処理を実行するソフトウエアとハードウエア資源とが協働しているとはいえないから、「発明」に該当しない

 ※特定審査基準を適用した判断

 

<特許を請求する発明3>

自然数nとmを入力する入力手段(ただし、1≦n≦m<256)と、

演算手段と、

演算手段による演算結果sを出力する出力手段

とを備えることによって、

 s={(m+n)2-(m-n)2}/4

によって計算する計算装置

<結論>

特許法上の「発明」には該当しない

<理由>

各手段(入力手段、演算手段、出力手段)が演算を実行するソフトウエアと協働していないから、「発明」に該当しない

 ※特定審査基準を適用した判断

 

<特許を請求する発明4>

自然数nとmを入力する入力手段(ただし、1≦n≦m<256)と、

K番目にk2の値が格納された二乗テーブル(ただし、0≦k<511)と、加減算器及びシフト演算器からなる演算手段と、

前記演算手段による演算結果sを出力する出力手段

とを備え、

前記演算手段が前記二乗テーブルを参照して二乗の値を導出することにより、乗除算器を用いることなく、

 s={(m+n)2-(m-n)2}/4

を計算する計算装置

<結論>

特許法上の「発明」に該当する

<理由>

「前記演算手段が前記二乗テーブルを参照して二乗の値を導出することにより、」という記載によって、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働しているといえるので、「発明」に該当する

 ※特定審査基準を適用した判断

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