特許出願
- どのような発明が特許になるのですか?
- 出願時以前に同じ技術が世の中に存在しない場合であって、出願時以前に存在している技術から容易に想到し得ない発明に特許性があります。
出願時以前に同じ技術が世の中に存在しないことを『新規性がある』といい、出願時以前に存在している技術から容易に想到し得ないことを『進歩性がある』と言います。従って、発明が特許になるためには、少なくとも、『新規性』と『進歩性』が必要になります。また、発明をした人が、特許出願する前に、発明の内容を自ら公開すると、原則的に『新規性』がなくなりますので、公開する前に、特許出願をする必要があります。
- 同じ発明について、複数の人が特許出願をした場合は、どうなるのですか?
- 先に出願した人に特許が認められます。ただし、『新規性』や『進歩性』等の他の要件を満たしていることが前提になります。
従って、できるだけ早く特許出願するほうがよいでしょう。
- 特許を出願すると、発明の内容が公表されると聞きましたが、本当でしょうか?
- 特許を出願すると、約1年6ヶ月で、出願書類の内容、即ち、発明の内容が公開特許公報に掲載され、誰でも、発明の内容を見ることができるような状態になります。
従って、発明が公開されると、『新規性』がなくなりますので、同じ発明について、他の人が特許出願しても、特許にはなりません。言い換えれば、発明の公開によって、他の人の権利化を阻止できることになります。
- 特許を出願すると、特許庁は自動的に審査してくれるのですか?
- 特許を出願しただけでは、審査してくれません。別途、出願審査請求という手続きを行う必要があります。出願審査請求は、出願から3年以内に行わなければなりません。3年以内に審査請求を行わない場合は、出願が取り下げられたものとみなされます。
従って、出願審査請求を行うには、16万円以上の手数料を特許庁に支払わなければなりませんので、出願後3年の間に、本当に権利化する必要があるのかどうかを検討して、権利化する必要があると判断した場合にだけ、出願審査請求をすればよいのです。なお、特許申請時に特許庁に支払う申請費用は、1万6千円です。
- 特許を申請するには、どのような書類を作成しなければならないのですか?
- 願書、特許請求の範囲、明細書、図面、要約書といった5種類の書類を作成しなければなりません。
願書には、発明者や出願人の住所、氏名といった情報を記載します。
特許請求の範囲は、特許権として保護を要求する範囲を特定するものであり、特許後は、特許権の及ぶ技術的範囲を定める基準となります。
明細書及び図面は、発明の内容を正確かつ明瞭に第三者に公開する技術文献としての意義及び特許請求の範囲を解説する意義を有しており、明細書には、【技術分野】、【背景技術】、【発明が解決しようとする課題】、【課題を解決するための手段】、【発明の効果】、【発明を実施するための最良の形態】、【図面の簡単な説明】及び【符号の説明】等を記載します。特に、【発明を実施するための最良の形態】の欄は、発明が実際上どのように具体化されるかを図面等を参照しながら記載する必要があります。
要約書は、特許情報へのアクセスを容易かつ迅速に行う意義を有しており、発明の概要を400字以内で記載する必要があります。
- 商品を改良したいが、知財の観点から、どのように解決すべきかわからない。
このような課題の解決の相談にのっていただけますか? - 商品の改良は、基本的に知財の観点から行うものではないと考えます。ただ、事業を有利に運ぶために、商品を改良する際に生まれた知的財産をどのように活用すればよいのかということについては、特許出願等を踏まえてアドバイスをさせていただくことは可能であると考えます。
- 特許・商標など知財を戦略的に活用したいが、何をどうすればよいかわかりません。
相談にのっていただけますか? - 西村特許事務所が得意とする専門分野ですので、お役に立てるのではないかと確信しております。
- 特許出願中(登録前)でも他人の模倣をやめさせることができますか?
- 特許出願中であっても、特許権の発生前は、他人の模倣をやめさせることはできません。ただし、出願公開がされた後において、他人の模倣を発見した場合は、所定の警告をしておくことによって、特許権が発生した段階で、警告時まで遡って実施料相当額の補償金を請求することができます。これを、補償金請求権と言います。
- 海外市場での展開において特許だけでなく、
商標や意匠もトータル的にサポートしてもらえるのですか? - 西村特許事務所では、米国、欧州、アジアにおける主要国の信頼できる特許事務所と連携しており、米国、欧州各国、アジア各国等における権利取得については、特許権だけでなく、意匠権、商標権についてもサポートさせていただきます。
商標登録
- 「商標」とは?
- 自分の商品やサービスと、他人の商品やサービスとを識別する標識を「商標」と言います。
商品に使用する商標を「商品商標」、サービスに使用する商標を「役務商標」と言います。
「商標」には、
(1)文字のみからなる文字商標(社名、ブランド名等のネーミング)
(2)図形のみからなる図形商標(ロゴマーク等)
(3)文字と図形が組み合わされた結合商標(ネーミング+ロゴマーク)
の他、
(4)文字や物品の立体的な形状からなる商標(コカコーラの瓶の形状等)
があります。
- 「商標登録」とは?
- 商標を特許庁に登録することを「商標登録」と言います。「商標登録」は、「商標」だけを登録するのではなく、「商標」と、その「商標」を使用する「商品」や「サービス」との組み合わせを登録します。
- 「商標登録」のメリットは?
- 商標登録されると商標権が発生します。
商標権を取得すると、登録商標を指定した商品やサービスについて独占的に使用することができます。
(1)登録商標を使用しても他人の商標権を侵害することがなく、他人から商標の使用停止を求められるおそれもなくなります
(2)指定した商品やサービスについて、他人による「登録商標」の使用を阻止することができます。
- 「商標登録」するためにはどうすればよいのですか?
-
特許庁に「商標登録出願」を行い、審査をしてもらう必要があります。
商標登録出願を行う際は、「商標」と、その商標を使用する「商品」やその商標を使用する「サービス」を指定する必要があります。
また、「商品・サービス」は、現在45の区分に分類されており、商標登録出願の際は、「商品」や「サービス」を指定するだけでなく、その「商品」や「サービス」が含まれる区分も指定する必要があります。したがって、指定する商品・サービスによっては、区分数が2以上にまたがる場合があります。
- 「商標登録」できない「商標」とは?
「商標」は、自分の商品・サービスと、他人の商品・サービスとを識別する標識ですので、
そもそも、そういった識別力を発揮し得ない「商標」は登録されません。例えば、以下に示すような商標は、識別力がないとして登録されません。
・商品「時計」に、商標「時計」(商品の普通名称)
・商品「清酒」に、商標「正宗」(商品に慣用されている名称)
・商品の産地、販売値、品質、効能等を表示する2以上の言葉よりなる商標
・ローマ字の1字もしくは2字からなる商標や数字のみからなる商標
・サービス「スナック」や「喫茶店」に、商標「愛」「純」「ゆき」「蘭」等
また、識別力は有していても、既に登録されている他人の「登録商標」と同一または類似の商標で、
同一または類似の「商品」や「サービス」に使用するものは、出所の混同を起こしますので、登録されません。したがって、既に登録されている他人の「登録商標」と同一または類似の商標であっても、その「登録商標」の指定商品や指定サービスと非類似の「商品・サービス」について使用する場合は登録されます。
例えば、サービス「建物の売買」について、商標「スペリオ」が登録されている場合であっても、商標「スペリオ」を、サービス「建物の売買」と非類似の商品「家庭用テレビゲーム」について使用する場合は登録されます。
- すでに登録されている商標はどのようなものがありますか?
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出願された商標や登録商標を商標名等で検索することができます。
詳細については、特許電子図書館(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)をご覧ください。
- 「商標権」の権利期間は?
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「商標権」の権利期間は10年です。ただし、10年毎に更新手続きを行うことで、永久に存続させることができます。
弊所にて更新手続きもさせていただきますので、くわしい料金については、以下をご参照ください。
更新登録申請費用(http://www.syohyo-touroku-exp.com/gallery/gallery-975-12937.html)
- 「サービス」、「役務」とは?
- 宅配便やホテル等のサービス業者が提供している無形のサービスを意味しています。
- 商標登録出願を行う際は、「商品」や「サービス」を
いくつでも指定することができるのですか? -
いくつでも指定することができます。
ただし、「商品・サービス」の区分数が増えると、特許庁に支払う手数料や特許事務所に支払う手数料が増えていきます。
例えば、特許庁に支払う手数料は、以下の通りです。
(1)出願手数料 = 3,400 +(区分数×8,600)
(2)登録料 =区分数×37,600
- 出願してどのくらいで結果がでるの?
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通常、出願後、半年~1年の間に特許庁からのアクションがあります。
審査官が、登録を認めてもよいとの心証をもった場合は登録査定が送達され、登録を認めることができないとの心証をもった場合は拒絶理由通知が送付されます。ただし、所定の要件を満足している場合は、早期審査申請を行うことができ、その申請が認められた場合は、申請後、1.5~2ヶ月程度で、特許庁から最初のアクションが出されます。
出願商標について早期決着をお望みの場合は、早期審査申請制度を利用されることをおすすめします。
弊所でも対応しておりますので、ご相談ください。
- 出願された商標はどのくらいの確率で登録になるの?
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特許庁の統計によれば、1990年から2004年までの15年間で、235万件出願されており、最終的に登録査定が出たものは192万件で、出願された商標の82%程度が登録になっています。
また、最終的に審査段階で出願商標の登録許可がでなかった場合には、審査官の判断に対する不服申立として、上級審である「拒絶査定に対する審判」を請求することができますが、1990年から2004年までの15年間を平均すると、審査段階で拒絶された出願の10%程度が審判を請求しており、そのうちの94%が登録になっています。
審査官の判断に納得がいかない場合、審判を請求すると、9割の確率で登録できるということです。
なお、審査は1人の審査官が行いますが、審判では3人の審判官の合議体によって、審査官の判断が正しかったか否かを審理します。
- 自分が使用している商標と同一・類似の商標が他人によって
登録されている場合、使用できないの? -
他人の商標登録に係る商標登録出願の出願日以前から商標を使用している場合は、先使用権が認められ、継続して使用が認められます。
ただし、出願日前から商標を使用していることを立証する必要があります。
- 自社の社名が他人によって既に登録されていたら、社名を表示することができないの?
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自社の社名が他人によって既に登録されていても、商品の製造元の表示として、商品の裏面側に小さな文字で表示する場合は、商標の使用態様ではなく、他人の商標権を侵害するものではありません。
しかし、商品の前面に大きく表示した場合は、商標の使用態様となりますので、他人の商標権を侵害することになります。
- インターネットドメイン名を含む商標を申請した場合、
ドメイン名部分に他人の登録商標と同一の名称が含まれている場合はどうなるの? -
先登録商標に類似するとして拒絶されますので、ドメイン名を商標として使用する場合は注意して下さい。
また、インターネットの普及に伴い、ドメイン名と、商標や著名な商号・人名等とが抵触するようなことが増えてきましたので、それに対応すべく、不正競争防止法が改正され、ドメイン名を不正の目的で、または他人に損害を与える目的で取得・保有、または使用することが不正競争行為に追加されました。
例えば、有名な企業の名前を関係のない第三者がドメイン名として登録した場合や、ドメイン名取得者が商標権者に対して不当に金銭を請求したりする場合がこれに当たります。
- 健康食品やサプリメントを指定商品とするときは、どのように指定すればよいの?
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「健康食品」や「サプリメント」は、そのまま指定商品として指定することができません。
具体的には、「~主原料とする…状の加工食品」(例えば、「コラーゲンを主成分とする
粒状・顆粒状・液状・錠剤状・粉末状・ゼリー状・軟カプセル状またはカプセル状の加工食品」等)という表現で指定することになり、主原料によって、商品区分が異なります。一例として
・ローヤルゼリーを主原料とする錠剤状・カプセル状・顆粒状・液状又は粉末状の加工食品 → 30類
・牡蛎エキスを主原料とする粉末状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・液状の加工食品 → 29類
- 他人の登録商標を使用したい場合はどうすればよいの?
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他人の登録商標を使用したい場合は、
@商標権者から商標権を譲渡してもらう。
※一部の指定商品について、分割して移転してもらうことも可能です。A商標権者から商標の使用をする権利の許諾を受ける。
※商標を使用する地域を限定して使用権を設定してもらうことも可能です。B商標権に無効理由がある場合は、無効審判を請求して商標登録を無効にする。
C商標権者が使用していない一部または全部の指定商品または指定役務について、他人の登録商標を使用したい場合は、不使用取消審判を請求して、その指定商品または指定役務についての登録を取り消す。ただし、商標権者が継続して3年以上使用していない場合に限ります。
- 商品の包装や容器も商標として登録されるの?
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商品の包装や容器自体も立体商標として登録可能ですが、原則的には、商標としての識別力がないとして、なかなか商標登録を受けられないのが現状です。
コカコーラのビンのように、長年の使用によって、あのビンの形を見たらコカコーラを想起するようになれば、使用によって識別力が発揮されたとして、商標登録を受けることができます。
また、チョコレート菓子の形状自体も商標登録されています。
- 商品自体に表示されない小売業者や卸売業者の商標はどうすればいいの?
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小売役務商標として、登録すればよいでしょう。
商標には、商品に表示する商品商標やサービスを表示する役務商標の他に、小売役務商標と呼ばれる商標があります。
この小売役務商標とは、小売業者等が、取扱商品の値札、折り込みチラシ、価格表、レシート、ショッピングカート、買い物かご、陳列棚、会計用レジスター、店舗の看板、店舗内の売場の案内板、店舗内の売場の名称、店員の制服・名札、レジ袋、包装紙等に表示する商標を言います。
また、テレビ広告、インターネットにおける広告などに表示する商標も含まれます。
小売業者等が自己の商標を小売等役務に係る商標として商標登録する場合は、多数の区分に出願する必要がなく、第35類という一つの区分に出願すればよいので、取扱商品の範囲が広くても、特許庁に支払う出願手数料、登録料等の負担を最小限に押えることができるというメリットがあります。
小売業者等が、既に商品商標について登録を受けている場合、チラシに販売商品と共に商標を表示する行為は、登録商標の使用に該当しますが、小売店の店舗に設置した看板に商標を表示したり、店内のショッピングカートに社標を表示したり、接客サービスをする店員の制帽・制服・名札に社標を付し、その制服等を着用してサービスを提供したりする等の行為は、商品商標の使用には該当しませんので、小売役務商標として出願し直して、商品商標についての登録から、小売役務商標についての登録に順次切り換えて行かれるほうが良いと思います。
製造業者は商品商標、サービス業者は役務商標、小売業者等は小売役務商標について、それぞれ登録を受けることが理想の姿であるとお考え下さい。
- 日本で商標登録を受けていない外国企業の商標について、
日本企業が商標登録出願すれば、登録されるか? -
我が国の商標制度は、先願主義を採用していますので、先に出願した者に登録が認められるのが原則ですが、外国企業の商標が日本国において広く知られた商標(周知商標)である場合は、商標登録が認められません。
また、こういった他人の周知商標を、自己の商品や営業の表示として使用することで、他人の表示と混同させる行為は、不正競争行為として、不正競争防止法によって禁止されています。
意匠登録
- 意匠権を取得するまでどのくらい時間がかかるのですか?
- 出願後、半年~1年の間に特許庁から何らかのアクションがありますので、拒絶理由がなかった場合は、登録料を納付することによって、半年~1年の間に意匠権が発生します。
- 意匠権を取得するのにどのくらい費用がかかるのですか?
- 出願時に12万円弱、登録時に7万円強の費用がかかります。詳しくは、料金表をご覧下さい。
- 意匠登録出願をするには何が必要ですか?
- 意匠登録出願には、六面図(正面図、背面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図)が必要となります。現物をお持ちいただければ、弊所で図面(場合によっては写真)を作成いたします。
- 意匠権の権利期間は何年ですか?
- 20年です。ただし、権利を維持するためには、権利期間の満了までの各年について登録料の納付が必要となります。
- 意匠権を取得すると、どうなるのですか?
- 登録された意匠と同一・類似範囲内にある意匠の他人による実施を阻止することができます。
- どのような場合に意匠権を取得すると効果的ですか?
- 製品の機能上、同じようなデザインにならざるを得ない場合、商品のデザイン自体が商標的な機能(自他商品識別機能)を果たしている場合、即ち、デザインを見れば、どの会社の商品かを想起できるような場合に、意匠権を取得することが効果的です。
また、物品の形状が技術的効果を生み出しているような場合は、特許権及び意匠権の双方を取得することによって、特許権または意匠権のいずれか一方を取得するだけではカバーしきれない範囲を相互に補完することができ、漏れのない権利取得が可能になります。
- 意匠登録は製品(商品)全体のデザインについてなされるのですか?
- 基本的には製品(商品)全体のデザインについて意匠登録されますが、製品(商品)の中の特定の部位デザインがが特徴的である場合、その部位を「部分意匠」として登録を受けることができます。

