コンピュータ・ソフトウエアの保護(6)
2014.05.07 10:00
<コンピュータ・ソフトウエア関連発明の保護>
今回は、「ネットワーク配信記事保存方法」というビジネス分野の発明を例に挙げながら、特許法上の「発明」に該当するか否かの判断がどのようになされるかについてご説明します。
<特許を請求する発明1>
受信手段が、通信ネットワークを介して配信される記事を受信するステップ
表示手段が、受信した記事を表示するステップ、
ユーザが、該記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した場合に保存指令を記事保存実行手段に与えるステップ、
前記記事保存実行手段が、保存指令が与えられた記事を記事記憶手段に記憶するステップ
から構成されるネットワーク配信記事保存方法。
<結論>
特許法上の「発明」には該当しない
<理由>
「ユーザが、該記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した場合に保存指令を記事保存実行手段に与える」というステップは、人間の精神活動に基づいて行われる処理であり、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働することにより構築されたシステムの動作方法とはいえないから、「発明」に該当しない
※特定審査基準を適用した判断
<特許を請求する発明2>
受信手段が、通信ネットワークを介して配信される記事を受信するステップ
表示手段が、受信した記事を表示するステップ、
記事保存判断手段が、該記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した場合に保存指令を記事保存実行手段に与えるステップ、
前記記事保存実行手段が、保存指令が与えられた記事を記事記憶手段に記憶するステップ
から構成されるネットワーク配信記事保存方法。
<結論>
特許法上の「発明」に該当する
<理由>
記事の文章中に所定のキーワードが存在するか否かを判断し、存在した記事を保存するという処理が、保存判断手段、記事保存実行手段及び記事記憶手段という、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって実現されたシステムの動作方法であるから、「発明」に該当する
※特定審査基準を適用した判断

