知的財産契約(5)
2013.11.06 10:00
今回は、ライセンス契約において、「技術的効果が認められない場合(技術面での瑕疵)」や権利に瑕疵がある場合(権利面での瑕疵)」について説明します。
1.技術面での瑕疵
例えば、特許ライセンス契約においては、「特許明細書に記載の技術的効果が認められなかった場合」や「工業的又は商業的な実施(事業化)が可能でないことが判明した場合」についても検討し、契約書に盛り込む必要があります。
特許明細書に記載の技術的効果が認められなかった場合は、担保責任として、瑕疵修補請求、損害賠償請求、実施料の減額請求が可能であり、目的府達成の場合には契約解除も可能です。
具体的には、以下のような規定を設けることになります。
第○条 甲(ライセンサー)は、乙(ライセンシー)に対し、本件特許発明に関し、当業者が実施した場合に本件特許権の明細書に記載された技術的効果をそうすることを保証し、工業的又は商業的実施が可能であることは保証しない。
2.権利面での瑕疵
特許無効審決の確定により実施権は消滅し、実施契約も無効となりますので、ライセンサーはそれ以降の実施料を請求することはできません。しかしながら、無効審決確定前にライセンシーが支払った実施料については、不返還特約を定めておく必要があります。
具体的には、以下のような規定を設けることになります。
第○条 乙(ライセンシー)は、次の各号の一に該当する場合といえども、特許無効審決確定の日までの実施料の支払義務を免れないものとする。
(1)許諾特許に関し、特許請求の範囲が変更もしくは減縮され、または、特許を無効にすべき旨の審決もしくは取消決定が確定したとき。
(2)出願を拒絶すべき旨の査定もしくは審決が確定し、または出願が却下されたとき。
また、先使用権の存在が判明した場合については、先使用権者の存在をライセンシーが予見すべきであったとはいえませんので、実施権が独占的通常実施権の場合は、以下のような規定を設けることを検討する必要があります。
第○条 本件実施権に対抗しうる先使用権が存在した場合は、乙(ライセンシー)は、先使用権の存在が明らかになった時点以降の実施料について減額を請求し、または、将来に向かって本契約を解約することができる。

