知的財産契約(2)
2013.10.02 10:00
今回は、知的財産契約の中で最も重要度の高いライセンス契約について説明します。
契約の主たる法律関係は、以下の3つです。
1.誰と誰が合意したのか
2.何についての合意したのか
3.どういう債権債務を負うか
従って、契約書においては、まず、「当事者」、「契約対象」及び「債権債務の内容」を特定する必要があります。
知的財産に関するライセンス契約とは、特許権者や商標権者が当該特許発明の実施や当該登録商標の使用を他人に認める実施権を設定する契約であり、ライセンサー(特許権者や商標権者等)は、ライセンシー(他人)による特許発明の実施や登録商標の使用に対して法的措置をとらないという義務を、ライセンシーはこれに対して対価の支払い義務をそれぞれ負うことになります。
実施権としては、設定の範囲内で特許発明(登録商標)等を独占的に実施(使用)できる専用実施権(専用使用権)と、設定の範囲内で特許発明(登録商標)等を単に実施(使用)できる通常実施権(通常使用権)とがあり、特許権者や商標権者は、同一の発明(商標)について複数の専用実施権(専用使用権)を異なる他人に重複して設定することはできませんが、同一の発明(商標)について複数の通常実施権(通常使用権)を異なる他人に重複して設定することができます。
前回説明しました知的財産権の特性を考慮しますと、知的財産に関するライセンス契約のポイントは以下のようになります。
1.ライセンス契約の対象を明確にする(権利内容の不明確性)
2.ライセンスの対価はどのようにして定めるのか(経済的価値の不確実性)
3.知的財産権が侵害され、利用に障害が生じた場合にどうするのか
(権利侵害の容易性)
4.技術的効果が認められない場合や権利に瑕疵がある場合にどうするのか
(権利の脆弱性)
5.独占禁止法に規定している不公正な取引方法に該当しないようにする
(権利の事業支配力性)
次回から各ポイントについて、細かく説明していきます。

