ネーミング(5)
2013.05.29 10:00
今回は、前回に引き続き、ネーミングの案出作業を構成している 3.ネーミング(造語)作業、4.言語調査、5.商標調査、6.ネーミング案の決定についてお話します。
3.ネーミング(造語)作業
前回お話ししましたプロセスで集めたキーワードをもとに、ネーミングの案出作業を行います。キーワードがそのままの形でネームとしての要求条件を満たし、商標登録も可能な場合もまれにはありますが、現実には、抽出あるいは展開したキーワードの多くは、ネーミング・コンセプトの一部分だけを表現するものであって特性の伝達機能の発揮には不十分であるのが普通ですし、単なる形容詞や普通名詞である場合が多いため、特に商標権取得に当たっては商標法3条1項(商標の本質的機能である自他商品・サービス識別機能の欠如)に該当し、そうでない場合でも、業界にもよりますが、すでに他社が登録済みである場合が多いのが実情です。
そのため、多くの場合、何らかの形で「造語」して、ネーミングを案出する作業が必要となります。なお、具体的な造語の方法は、いくつかのパターンに分類できますので、パターンごとに事例を挙げて、次回から数回にわたってお話しします。
4.言語調査
前々回にお話ししましたように、特にネーミングする商品・サービスが海外展開を想定している場合には、案出したネーミングが、外国人が接してもイメージに違和感がなく、ネガティブな意味がないものであることを事前に確認しておく必要があります。
5.商標調査
造語により案出したネーミングの段階で、商標調査を行います。単に、同一・類似の先行事例を発見するだけでなく、他人の登録商標と同一または類似(商標法4条1項11号に該当)する可能性が高い引例を発見した場合には、拒絶理由を回避できる可能性を高めるための修正・変更を行う必要があります。
6.ネーミング案(複数)決定
ネーミング案を複数決定します。適当なネーミング案の数は一概に決められませんが、実際には余り多すぎると絞り込み作業がむずかしくなりますので、似通ったものは可能な限り整理し、多くても20件、できれば10件以内とすることが望ましいです。
また、造語等により案出されたネーミング案の多くは、ネーミング・コンセプトの柱のいずれかとの関連性が強いグループを形成する場合が一般的です。その場合、どうしても造語しやすいキーワードに基づくネーミング案が多数できてしまい、特定のグループに偏るという傾向があります。
ネーミング案の絞り込み等の作業においては、できるだけ先入観を形成しない配慮が必要ですから、各グループに属するネーミング案はなるべく偏らないことが望ましいですが、どうしても大きな偏よりが生じる場合は、前述のネーミング・コンセプトの優先順位に基づき、順位の低いネーミング・コンセプトに基づくネーミング案ばかりが多くならないよう配慮する必要があります。

