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中国商標局1月1日より「薬剤関係の小売役務」の受付を開始

2013.01.24 10:43

これまで、中国では、商標登録出願において小売役務を指定することはできませんでしたが、昨年12月14日付で、中国商標局のホームページにおいて、「本年1月1日よ『薬剤関係の小売役務』の受付を開始する。」との発表がありました。

ただし、対象となる小売役務は、「薬用、獣薬用、衛生用製剤と医療用品」です。
また、日本とは異なり、小売役務とその該当商品とは原則として類似しないという取り扱いになります。従いまして、これまで、商品分野で取得していた権利では小売の出願を排除できないことになりますので、ご注意ください。
また、2013年1月1日~1月31日の期間中に、同一または類似する新規役務について提出さる登録出願は、同日に出願されたとみなす、という「出願の特例」が設けられています。従いまして、1月31日までに出願を行えば、製薬会社の商品商標が、第三者による薬剤等の小売商標で先取りされるような事態は防止できます。

なお、これらの小売又は卸売の役務について商標登録を受けるためには、出願人が指定した小売又役務が、当局の営業許可書における営業範囲と一致している必要がありますが、日本法人の場合は、会社登記簿において、「薬品・薬物などの小売又は卸売り、販売」等が経営目的に含まれていれば、小売卸売役務の出願が可能とのことです。

以下に、JETRO北京事務所にて作成された日本語仮訳を掲載します。
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新規小売または卸売役務の商標登録出願関連事項に関する通達

2012年12月14日 出所:国家工商行政管理総局商標局

2013年1月1日より実施される『商標登録用商品・役務国際分類』第十版2013修正版は第35類に「薬用、獣医用、衛生用製剤および医療用品の小売または卸売役務」という項目を追加した。すでに使用された商標権者の利益を一層守り、安定的市場秩序を維持するために、当局は検討の上、新規役務項目を受理する過渡期を設けた。新規役務項目および過渡期に関する事項について以下のとおり知らせる。

一、新規役務及びその定義
(一)『商標登録用商品・役務国際分類』修正版に基づき、『類似商品・役務区分表』類似群3509において「薬用、獣医用、衛生用製剤および医療用品の小売または卸売役務」、「薬品の小売または卸売役務」、「薬用製剤の小売または卸売役務」、「衛生製剤の小売または卸売役務」、「医療用品の小売または卸売役務」、「動物用薬剤の小売または卸売役務」および「獣医用製剤の小売または卸売役務」の計7つの新規役務項目を設けた。
(二)新設役務は小売または卸売役務であり、顧客が見て購入できるように、薬品、薬用製剤、衛生製剤、医療用品、動物用薬剤、獣医用製剤等の商品を集約し、分類すること(輸送を除く)を指す。当該役務は、顧客が購入するよう促すために提供する役務の集合であり、伝統的な実店舗、若しくはインターネット上の販売プラットフォームを通じて提供することができる。

新設役務商標登録の保護しようとする対象は上記の具体的な商品ではなく、当該商品を販売するために提供する総合的な、便利な役務行為である。

二、新規役務商標の出願
(一)出願人は、7つの新規役務項目の標準的名称で登録出願しなければならない。
(二)出願人の指定項目は新規役務の範疇を超えてはならない。
(三)下記の表現は新規役務項目の標準的名称でないため、当局は受理しない。
1、小売または卸売役務。
2、薬品の小売または卸売。
3、薬品名称の小売または卸売役務。
4、某ブランド薬品の小売または卸売役務。
5、薬品の小売または卸売情報を提供する。
6、薬品の小売において顧客に無料のコンサルタント役務を提供する。
7、医療機構により調合される製剤の小売または卸売役務。
8、その他の新規役務項目の標準的名称でない場合。

三、新規役務の類似関係
(一)新規役務同士の類似関係
1、「薬用、獣医用、衛生用製剤および医療用品の小売または卸売役務」と「薬品の小売または卸売役務」、「薬用製剤の小売または卸売役務」、「衛生製剤の小売または卸売役務」、「医療用品の小売または卸売役務」、「動物用薬剤の小売または卸売役務」、「獣医用製剤の小売または卸売役務」とは原則として類似する。
2、「薬品の小売または卸売役務」、「薬用製剤の小売または卸売役務」、「衛生製剤の小売または卸売役務」、「医療用品の小売または卸売役務」の四項目の役務同士は原則として類似する。
3、「薬品の小売または卸売役務」、「薬用製剤の小売または卸売役務」、「衛生製剤の小売または卸売役務」、「医療用品の小売または卸売役務」と「動物用薬剤の小売または卸売役務」、「獣医用製剤の小売または卸売役務」とは原則として類似しない。
4、「動物用薬剤の小売または卸売役務」と「獣医用製剤の小売または卸売役務」とは原則として類似する。
(二)新規役務とその他の商品または役務との類似関係
1、新規役務とその販売する商品とは原則として類似しない。
2、新規役務と「他人のために販促する」など第35類のその他の役務とは原則として類似しない。

四、過渡期の規定
当局は、1993年の役務商標の受理経験を参考に、2013年1月1日より1月31日までの期間を登録出願の過渡期として定めた。この期間中、同一または類似する新規役務について提出される登録出願は、同日に出願されたとみなす。出願日は当局が出願書を受領した日とする。過渡期内に登録出願した新規役務商標について以下の措置を講ずる。
(一)インターネットによる出願は受理しない。
(二)出願人が指定する新規役務項目の範囲は営業許可証における経営許可範囲と一致しなければならない。
(三)通常は、以下の原則により商標専用権を決める。同日出願したものについて、先使用者の商標を初歩審定する。同日使用、或いはいずれも未使用の場合、当事者の協議により解決する。決まった期間内に協議したくない又は協議が成立しない場合、抽選で決める。
新規役務商標が既に使用されたとは、2013年1月1日までに既に指定した新規役務項目において公式に、実際に使用されたことを指す。

上記の規定は、過渡期内に当局で行われる新規役務商標の登録出願のみに適用する。
商標局
2012年12月14日
出所:
2012年12月14日付け国家工商行政管理総局商標局ホームページを基に、JETRO北京事務所にて日本語仮訳を作成。

http://sbj.saic.gov.cn/tz/201212/t20121214_131924.html

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