第5回 商標の登録要件(2)
2013.02.13 10:00
今回は、二つ目の登録要件について説明します。前回説明しました一つ目の登録要件を満たしている商標であっても、この二つ目の登録要件を満たしていない商標は、登録が認められません。
二つ目の登録要件には、一つ目の登録要件と同様に、様々のものが規定されていますが、今回は拒絶理由として最も頻繁に採用されているものについてご説明いたします。 それは、具体的にどういった要件かと言いますと、他人の登録商標と同一・類似範囲にある商標は登録を認めないという要件です。
商標は、自社の商品またはサービスに使用するものであるため、自社の商標と他社の商標(登録商標)との同一・類似関係と、自社が商標を使用している商品・サービスと他社が登録商標を使用している商品・サービスとの同一・類似関係が問題となります。つまり、自社の「商標」及び「商品・サービス」の双方が、他社の「登録商標」及びその登録商標の「指定商品・サービス」と、同一・類似関係にある時は、その商標の登録が認められないということです。従いまして、自社の商標と他社の登録商標とが非類似の場合や、自社が商標を使用している商品・サービスと他社が登録商標を使用している商品・サービスとが非類似の場合は、他の要件を満足していることを前提として、登録が認められます。
また、商標権は、登録商標と同一・類似範囲内における他人の商標の使用を阻止することができる権利であるため、この要件を満たしていないために登録が認められない場合は、他人の商標権を侵害している可能性が高いということです。従いまして、この理由で拒絶された場合、その商標を使用し続けることは、よろしくないということになりますので、商標の変更等をご検討ください。
さらに、登録されていなくても、世の中に広く知られた商標(周知商標)や有名な商標(著名商標)と同一・類似範囲内にある商標は登録を認められません。特に、著名商標に類似する商標については、著名商標を使用している商品・サービスと非類似の商品・サービスに使用する場合であっても、混同を生じるおそれがあるときは、登録が認められませんので、ご注意願います。
弁理士 西村陽一

