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2012年11月24日号 「新日鉄住金の技術情報漏洩事件」

2012.11.14 15:48

2012年11月24日号 「新日鉄住金の技術情報漏洩事件」

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多額の報酬で社員OBを抱き込まれ、鋼板製品に関する最先端技術を盗用されたとして、新日鉄住金(東京)が韓国の鉄鋼最大手ポスコを相手取り、不正競争防止法に基づき986億円の損害賠償や同製品の製造・販売の差し止めなどを求めた訴訟の第1回口頭弁論が25日、東京地裁(高野輝久裁判長)であった。ポスコ側は「盗用の事実はない」と請求棄却を求め、全面的に争う姿勢を示した。

盗用の疑いがあるのは、発電所の変圧器などに使われる「方向性電磁鋼板」の製造技術。新日鉄住金が40年以上かけて改良を重ね、「営業秘密」として管理してきた技術だが、2007~08年、中国の製鉄会社への秘密漏えい事件で韓国検察に逮捕・起訴されたポスコの元研究員(有罪確定)が、「漏えいしたのは新日鉄の技術」と供述したことで盗用の疑いが発覚した。

新日鉄住金は訴状で、ポスコが1987年以降、同社の日本法人を介するなどして、新日鉄の元社員4人に多額の報酬を約束したり、元社員が設立した会社と技術供与契約を結んだりして技術情報を盗用していたと主張。「ポスコの組織的・計画的な不正行為により、市場での優位性が著しく損なわれた」としている。

これに対しポスコ側は答弁書で「盗用は事実無根」と反論。新日鉄住金からの盗用を認めた元研究員の供述についても、「信用に値しない」と主張している。

読売新聞 2012年10月25日 夕刊

ノウハウとして秘匿されている有名な例としては、コカコーラの原液の配合方法等が挙げられる。このように、企業が自社技術をノウハウとして管理するのは、権利行使が難しい製造方法等の技術については、特許を取得するためにその技術内容を社会に公開するよりもノウハウとして秘匿するほうが、リスクが少ないと企業が考えているからであろう。

確かに、企業が自社技術の社外漏洩を100%防止することができるのであれば、特許を取得することなく、営業秘密として管理するのがベストな選択であると言える。

しかしながら、上述した新日鉄住金の事例からも分かるように、技術の社外漏洩を100%防止することは困難であると共に、コンプライアンスが厳しく問われるようになった昨今では、企業が他人の権利を黙認して権利侵害行為を行うと、社会から厳しい制裁を受けることになるという現実を考慮すると、自社技術というものはいずれ漏洩してしまうものと考え、積極的に特許を取得することを検討すべきであろう。

ただし、製造方法等の技術の場合は、他社の侵害行為を立証しやすいように、特許請求の範囲の記載を工夫しておくべきであろう。

弁理士 西村陽一

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