取り組み事例

商標登録出願の審査で拒絶されたが、意見書を提出し反論することにより登録に至った事例

大阪府 ゲームソフト開発 株式会社ネクストン

本事件では、出願商標「萌将伝」に対して、競合他社から情報提供がなされました。

「情報提供」というのは、競合企業の商標を登録させたくない企業等が、その商標の登録を阻止するために、特許庁に対して種々の情報を提供する手続きであり、審査官は、提供された情報を参酌して審査を行います。

本事件では、お客様の出願商標「萌将伝」が、競合他社の登録商標「猛将伝」に類似するという理由で情報提供がなされ、審査官も、登録商標「猛将伝」の存在により、出願商標「萌将伝」は登録できない旨の拒絶理由通知を打ってきました。

審査官の拒絶判断に対する反論

拒絶理由通知に対しては、反論の機会が与えられ、40日以内に意見書を提出することができます。
お客様に拒絶理由通知が打たれた旨を連絡しましたところ、反論したいとの要望を頂きましたので、意見書を作成して審査官に提出しました。

本事件では、出願商標「萌将伝」の称呼『モエショーデン』と、登録商標「猛将伝」の称呼『モーショーデン』とが類似であるか否かが最大の争点となります。つまり、前半部の「モエ」と「モー」の違いによって、両商標が識別できるか否かという点がポイントとになります。

そこで、意見書において、以下のような主張を行いました。以下に、意見書におけるポイント部分の抜粋をそのまま記載しています。

『引用商標は、漢字で「猛将伝」と横書きしてなるもので、「モーショーデン」との称呼を生じるものであります。
一方、本願商標は、漢字で「萌将伝」と横書きしてなるもので、「モエショーデン」との称呼を生じるものであります。

引用商標が4音(モ-・ショー・デ・ン)、本願商標が5音(モ・エ・ショー・デ・ン)で構成されており、両者はいずれも短い音数よりなるもので あるから、前半部の「モー」と「モエ」の違いが両者の全体の称呼に及ぼす影響は極めて大きなものがあります。
また、前者の長音「ー」は柔らかい印象の鼻音「モ」に伴うため比較的微弱に発する音であるのに対して、後者の「エ」は口の開きを横に長くして強く明瞭に発音する音であるという差異を有しております。

さらに、本願商標の第2音に有する「エ」の音は、その構成音の中間に介在することから、極めて印象的に響きわたり、本願商標の全体の称呼に大きな影響を与えております。
これらの差異を踏まえ、両商標を全体として一連に称呼するとき、引用商標は「モーショーデン」と一連に発音、聴取されるものであるのに対して、本願商標は、第2音に明確に響きわたる「エ」を伴っていることから、全体として「モエ・ショーデン」と2音節で発音、聴取されるものであります。

従いまして、両者を一連に称呼するときは、その語調、語感が著しく異なり十分識別しうるものであり、引用商標と本願商標とは、称呼において非類似の商標であることは明らかであります。
また、本願商標は、上述した「モエショーデン」以外に「ホーショーデン」という称呼も生じ得るものでありますが、語頭で、「モ」と「ホ」の相違する調音方法及び音質の差異により、それぞれ一連に称呼した場合には、語調・語感が相違し、十分に識別し得るものであります。

従いまして、本願商標を「ホーショーデン」と称呼する場合も、引用商標と本願商標とは、称呼において非類似の商標であることは明らかであります。』

この意見書によって審査官の心証が変わり、最終的に登録査定を頂きました。

このように、意見書を提出して論理的に反論すれば、審査官を納得させることができ、出願商標を登録に導くことができます。
従いまして、審査官の判断に承伏できない場合は、あきらめずに反論したい旨を弊所にお伝えください。

弊所では、拒絶理由通知を客観的に検討して、弊所の見解及び反論が可能であれば、その応答方針をお示ししますので、弊所の見解等を考慮して、最終的に反論するか否かをお決めいただければと考えています。

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