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不正競争防止法(10)

2014.03.19 10:00

<不正競争防止法第2条第1項第3号請求主体について>

 

 3号制定の趣旨は、費用、労力を投下して、商品を開発して市場に置いた者が、費用、労力を回収するに必要な期間の間、投下した費用の回収を容易にし、商品化への誘因を高めるために、費用、労力を投下することなく商品の形態を模倣する行為を規制するというものです。

 

 従って、独占的販売権者が、差止請求、損害賠償請求及び信用回復措置請求の請求主体となりうるか否かについては、形態模倣の対象となる商品を自ら開発・商品化して市場に置いたものに限られるとする見解と、自己の利益を守るために形態模倣による不正競争を阻止して先行者の商品形態の独占を維持することが必要であり、商品形態の独占に強い利害関係を有する者についても含まれるとする見解とがあります。

 

 前者の立場は、3号の規定の趣旨から、同号所定の不正競争行為につき差止ないし損害賠償請求できるものは、形態模倣の対象とされた商品を自ら開発・商品化して市場に置いたものに限られるべきというもので、単に輸入業者として流通に関与し、あるいはライセンシーとして同種商品の製造につき許可を受けた者は、開発・商品化した者ということはできないし、投下した資金。労力やリスクは、形態の開発・商品化に関してではなく、すでに開発・商品化された商品を自らが日本国内で販売するにあたっての販路の開拓・拡大のためになされたものというべきであると判示された例があります。

  ・キャディーバッグ事件

 (東京地裁 平成11年1月28日判決 平成10年(ワ)第13395号)

不正競争防止法第2条第1項第3号に規定する不正競争につき差止請求権及び損害賠償請求権を有する主体は、形態模倣の対称とされた商品を、自ら開発・商品化して市場においた者に限られるとした事例

  ・リズシャルメル事件

 (東京地裁 平成12年7月18日判決 平成11年(ワ)第29128号)

原告は、原告の企業努力により、下着に付された本件商標は、原告の輸入販売するリズシャルメル社の商品を表す商品表示等として著名になっていると主張したが、裁判所は、その主張自体によっても、本件商標は、リズシャルメル社に由来する商品であることを示す表示として取引社・需要者の間で認識されていたのであって、原告の商品であることを示す表示として知られていたものではないと認定し、本件における原告は、単なる輸入代理店であって、不正競争防止法上の請求主体とはなり得ないと判示した事例

 

 一方、後者の立場は、独占的販売権を認められた者は、結果として、当該地域における当該開発商品の市場利益を独占できる地位を得ることになりますが、独占的販売権者が有するこのような独占的地位ないし利益は、後行者が模倣行為を行うことによって、その円満な教授を妨げられる性質を有するものであるとの前提で、この独占的地位ないし利益は、上記のような同号が保護しようとした開発者の独占的地位に基礎を有し、いわばその一部が分与されたものということができるから、第三者との関係でも法的に保護されるべきとするものです。

 独占的販売権者は、独占権を得るために、開発者に対し、当該開発商品を流通段階で取り扱う単なる販売権者に課されない相応の負担(最低購入量の定めなど)を負っているのが通常で、開発者は商品化のための資金、労力及びリスクを、商品の独占の対価の形で回収し、独占的販売権者はそれらの一部を肩代わりしていることになりますから、独占的販売権者を保護の主体として、これに独占を維持させることは、商品化するための資金、労力を投下した成果を保護するという点でも、同号の立法趣旨に適合します。

  ・ヌーブラ事件

 (大阪地裁 平成16年9月13日判決 平成15年(ワ)第8501号)

先行者から独占的な販売権を与えられている者(独占的販売権者)のように、自己の利益を守るために、模倣による不正競争を阻止して先行者の商品形態の独占を維持することが必要であり、商品形態の独占について強い利害関係を有する者も、第3号による保護の主体となりうるとした上で、独占的販売権者の請求は認められるとした事例

 

 次に、共同開発者の一方が、第三者と組んで販売する行為は差止等の請求主体になり得るか否かが問題となりますが、共同開発者甲、乙それぞれが、当該商品を商品化して市場に置くために、費用や労力を分担した場合には、第三者の模倣行為に対しては、両者とも保護を受けることができる立場にあることはいうまでもありません。しかし、甲、乙間においては、当該商品が相互に「他人の商品」に当たらないため、当該商品を販売等する行為を不正競争行為ということはできません。そこで、どの程度の関与をすれば共同開発者といえるか、つまり商品化について費用や労力をいかに投下したかについては、個別の事案検討がされるものと思われます。

  ・携帯液晶ゲーム事件

 (東京地裁 平成12年7月12日判決 平成10年(ワ)第13353号)

甲、乙それぞれが、当該商品を商品化して市場に置くために、費用や労力を分担した場合には、第三者の模倣行為に対しては、両者とも保護を受けることができる。甲、乙間においては、当該商品が相互に「他人の商品」に該当しないとし、商品の共同開発者の一人が、他の共同開発者の許諾なく該商品を販売しても不正競争行為ということはできないと判事した事例

  ・シチズン時計事件

 (東京地裁 平成11年6月29日判決 平成9年(ワ)第27096号)

原告シチズン商事が新規腕時計商品の企画を提案し、これに基づいて原告シチズン時計が腕時計の具体的な形態仕様を捜索していると認められ、原告ら両名が共同して原告ら商品の形態を開発したといえるし、販売業者であったとしても、共同して商品の形態を開発した場合には、差し止め、損害賠償請求は求められるとした事例

  ・シチズン時計事件

 (東京地裁 平成11年6月29日判決 平成9年(ワ)第27096号)

原告シチズン商事が新規腕時計商品の企画を提案し、これに基づいて原告シチズン時計が腕時計の具体的な形態仕様を捜索していると認められ、原告ら両名が共同して原告ら商品の形態を開発したといえるし、販売業者であったとしても、共同して商品の形態を開発した場合には、差し止め、損害賠償請求は求められるとした事例

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