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不正競争防止法(6)

2014.02.19 10:00

<不正競争防止法の「周知」及び「著名」とは >

1.他人の商品等表示が不正競争防止法第2条第1項第1号で保護されるためには、かかる商品等表示が「需要者の間に広く知られている(「周知」である)」ことが要件とされ、第2号では「著名」であることが要件とされています。
これは、本規定が商標登録を要件としないにもかかわらず、本規定により不正競争行為と判断された他人の商品等表示の使用についてはその差止や損害賠償請求が認められることから、その商品等表示が周知又は著名となっていてはじめて保護すべき法益があると考えられているからです。

2.他人の商品等表示が周知であるかどうかは、商品・役務の性質・種類、取引形態、需要者層、宣伝活動、表示の内容等の諸般の事情から総合的に判断されます(逐条解説 不正競争防止法(平成21年改正版) 52頁 有斐閣)。
また、原則として、一地方で周知であれば第2条第1項第1号による保護を受けることが可能であると解されています。
・勝烈庵事件
(横浜地裁 昭和58年12月9日判決 昭和56年(ワ)第2100号)
しかしながら、問題となっている商品等表示がインターネットのオークションサイトで使用されていた場合は、かかる商品等表示が全国的に知られていることを求めた判決もあります。
・genki21事件
(東京地裁 平成22年4月23日判決 本訴:平成21年(ワ)第16809号
反訴:平成21年(ワ)第33956号)

3.一方、第2条第1項第2号では、他人の商品等表示が「著名」であることが求められています。これは、そもそも本号が、競業関係の有無を問わず、著名な商品表示等の「フリーライド(ただ乗り)」、「ダイリューション(希釈化)」、「ポリューション(汚染)」を防ぐことを目的としてもうけられた条項だからです。

4.ある商品等表示が著名であるといえるためには、全国的に知られている必要があります。これは、著名な商品等表示の保護が広義の混同さえ認められない全く無関係な分野にまで及ぶものであることから、通常の経済活動において、相当の注意を払うことによりその表示の使用を避けることができる程度にその表示が知られていることが必要だと考えられるからです。
一方、ある商品等表示が著名であれば、他人が当該商品等表示を冒用することにより混同が生じるおそれがあるか否かは要件とされていません。これは、著名な商品等表示は高い経済的価値を有しており、これが侵害された場合は当該商品等表示の所有者に多大の被害が発生するため、混同の有無にかかわらず保護すべきと考えられるからです

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