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不正競争防止法(4)

2014.02.05 10:00

<不正競争防止法の「営業を表示するもの」とは >

 

1.不正競争防止法第2条第1項第1号は、他人の商品等表示として、「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。」と規定し、「営業を表示するもの」を保護対象としており、この「営業を表示するもの」には、例えば、営業名や図形の営業標等が含まれるといわれています。

 

2.これに対して、例えば、「商品陳列デザイン」は、通常、売場全体の視覚的イメージの一要素として認識記憶されるにとどまるから、それのみで営業表示性を取得するに至るとは考え難いとされています。そして、「商品陳列デザイン」だけで営業表示性を取得するような場合があるとするならば、それは商品陳列デザインそのものが、本来的な営業表示である看板やサインマークと同様、それだけでも売場の他の視覚的要素から切り離されて認識記憶されるような極めて特徴的なものであることが少なくとも必要である、とされています。

・商品陳列デザイン事件(西松屋対イオン)

(大阪地裁平成22年12月16日判決 平成21年(ワ)第6755号)

 

3.また、不正競争防止法上の「営業」は、経済上の収支計算に基づいて行われる活動をいい、営利を目的とするか否かを問わないとされています。例えば、「華道家元の活動」は、文化・芸術活動というべき側面を有する一方で、経済上の収支計算に基づいて行われている事業活動でもあるから、同法同号の「営業」に該当する、とされ、これらの活動に用いる「華道専正」、「華道池坊」及び「ロイヤルフラワーアレンジメント」などの名称は、事業活動のうち、華道の教授、普及その他の活動を表示するものであるから、不正競争防止法1項1号、2号の「営業等表示」である、とされています。

・華道専正池坊家元事件(西松屋対イオン)

(大阪地裁平成16年9月20日判決 平成17年(ネ)第3088号)

また、病院経営についても、「営業」に該当するとされています。

・京橋病院対京橋中央病院事件(西松屋対イオン)

(東京地裁昭和37年11月28日判決 昭和37年(ワ)第462号)

これに対して、宗教法人の宗教活動は、営業の自由の保障の下で自由競争が行われる取引社会を前提とするものではなく、不正競争防止法の対象とする競争秩序の維持を観念することができないものであるから、取引社会における事業活動と評価することはできず、「営業」に該当しないとされています。

・天理教事件

(最高裁第二小平成18年1月20日判決 平成17年(受)第575号、

東京高裁平成16年(ネ)第2393号)

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