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PCT国際出願(1)

2013.12.11 10:00

今回は、まず、PCT国際出願制度の概要について説明いたします。

1.PCT国際出願制度は、特許協力条約(Patent Cooperation Treaty、以下「PCT」という。)に基づく国際的な特許出願の制度であって、自国の言語で作成した出願書類を、自国の特許庁に提出することによって、その提出日(国際出願日)の時点で有効な全てのPCT加盟国に対して、国際出願日と同日に国内特許出願を提出したことと同様の効果が得られる制度です。

2.同一の発明について多数国で特許権を取得しようとすると、基本的には各国ごとにその国の公用語でその国の様式に従って特許出願を行う必要がありますが、全ての国に対して同日に、それぞれ異なった言語を用いて異なった出願書類を提出することは、とても煩雑な作業であり、事実上不可能であるといえます。
PCT国際出願制度は、このような手続きの煩雑さ、非効率さを改善するために設けられた国際的な特許出願制度です。

3.PCT国際出願制度の特徴
1) PCT国際出願願書の方式審査は、PCT国際出願を受理した受理官庁が国際的に統一された基準で行います。
2) 全てのPCT国際出願について、その発明に関する先行技術があるか否かを国際調査機関が調査する「国際調査」を行い、その結果が「国際調査報告」として出願人に提供されます。
3) PCT国際出願は、出願人の希望により、特許性を判断する際の国際的な一定基準を発明が満たしているか否かの予備的な審査である「国際予備審査」を受けることができます。その結果は、「特許性に関する国際予備報告」として出願人に提供される。
4) PCT国際出願を指定国に国内移行させる場合、その期限は、優先日から通常30ヶ月まで認められます。
5) 全てのPCT国際出願(明細書、請求の範囲、図面)は、優先日から18ヶ月を経過したのちすみやかに国際公開されます。
6) PCT国際出願制度においては、出願人は、出願書類を一通だけ受理官庁に提出すればよく、出願人が受理官庁へ提出した願書に記載した事項を変更するための要請についても、WIPO国際事務局が記録の変更を行います。
その後、指定官庁が実体審査のために関係書類が必要となる場合であっても、出願人に代わってWIPO国際事務局が必要なコピーを作成し、関係する指定国からの要請に応じて送付します。
6) 特許の取得を希望する指定国については、優先日から通常30ヶ月の期限が満了する前までに、PCT国際出願をその指定国に国内移行する必要があり、具体的には、その指定国が認める言語に翻訳した翻訳文を指定官庁に提出することになります。

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