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ネーミング(3)

2013.05.15 13:11

今回はよいネーミングについてお話しします。

ビジネスにおいて「よいネーミング」とは、究極的には商品やサービスが「継続的に売れる」事に資するネーミングです。
インパクトの高いネーミングで爆発的にヒットする商品やサービスもありますが、商品やサービスの内容、品質が伴っていない場合は、売上はやがて低下しますし、短期的なインパクトの高いネーミングほど、飽きられやすく、より新奇なネーミングの競合商品の中に埋没するのも早いという傾向があります。
一方、ネーミングの失敗原因の中で多いのが、名付け側の「こだわり」や「思い入れ」が強すぎることによる「独善的なネーミング」です。こだわりや思い入れは、前回お話ししましたネーミングの機能の核となる重要なものではありますが、「継続的に売れる」ネーミングの案出に当たっては、常に商品やサービスの需要者への効果を想定しつつ検討し、再評価するプロセスを繰返すことが必要です。
以上を踏まえて、よいネーミングの条件を考えると、以下のようなものが挙げられます。

①機能性(読みやすい、言いやすい、聞き取りやすい、覚えやすい)
メディア等を通じた広告で商品・サービスに最初に需要者が接した際に、読みやすく、言いやすく、聞き取りやすいネームが当然有利ですし、覚えやすいネームがその後の購買行動までの時間経過に耐えて記憶に残り、販売に貢献します。特に口コミの場合、ネームの覚え易さが伝播力を左右します。従って、この条件は良いネーミングの基本条件となります。
ただ、人間の記憶は必ずしもネームの単純性や馴染み易さとは相関しない場合があり、ある程度複雑なネームは異なる場合があります。

②直感性(商品・サービスあるいは組織等のコンセプトやイメージを把握しやすい)
需要者はメディア等を通じて日々多数の商品・サービスとそのネームに接しているため、ネームがその注意を喚起して関心を引き付けるためには、需要者のニーズやウオンツと商品・サービスのコンセプトやイメージとの関連性を瞬間的に直感させるネームが有利です。
言い換えれば、需要者は多数の商品・サービスのネームに接する中で、無意識に、直感によって自分に関係のありそうなものとそうでないものを分別しています。従って、ネーミングは商品・サービスや提供企業などのコンセプトやイメージを直感的に把握させるものが望ましいといえます。
環境や高齢化への関心が高まりを反映して「エコ」や「シルバー」「シニア」といった文字を含むネーミングが増加しているのも、この直感性に訴える効果を狙ったものと思われます。

③耐久性(時間経過により色褪せない、社会環境や流行に左右されにくい)
ネーミングはその時代の社会性や流行を反映し、いわゆる「旬」のワードが好んで取り入れられる傾向がありますが、社会環境変化のスピードが速まっているために「廃れ」も早くなっています。また、人気の高いワードが類似する競合ネームが急速に増加しますので埋没も早まり、需要者に飽きられやすくなります。
特に、企業名のネーミングでは、事業の多様化や転換により、ネーミングが企業コンセプトと剥離する可能性もたかまります。
商標に代表されるネームは、継続的な使用により信用を化体すべきものですから、ネーミングにおいては社会環境や流行に左右されず、時代を超えて色褪せないという視点も重要です。
ただ、この観点も、対象物のライフスパン(商品寿命)やターゲットとする需要者の特性を踏まえる必要があり、商品・サービスの販売計画や広告計画を念頭に置いたネーミングが重要となります。

④個性(人の心に鮮烈な印象を与え、記憶に残りやすい)
他との識別機能を発揮するためには、ネーミングには個性が必要です。ただ、ネームに接した需要者が受ける印象は主観的なものであり、前述のマーケットのセグメントや商品・サービスのジャンルにより大きく左右されます。
あるセグメントの需要者にとって特定の商品・サービスのジャンルにおいて好ましい印象を与える個性的なネームも、異なるセグメントやジャンルにおいては悪印象を与えることも多いため、特に個性的なネームを採用する場合は、需要者のターゲットによる施行や商品・サービスのジャンルにおける先行事例についての十分な調査検討が必要となります。

⑤国際性(外国人が接してもイメージに違和感がなく、ネガティブな意味がない)
海外市場も視野に入れた商品やサービスの場合、国際的に通用するネーミングが要求されます。英語等の外国語を用いたネーミングの場合、日本国内で一般的に認識されているワードの意味とネイティブの需要者がそのワードから直感する意味とがズレている事例は数多くあります。また、日本語のワードを使用したネームの場合、当該日本語の発音や表記が、海外市場では社会的・宗教的に禁忌されているワードの発音やイメージに合致・類似するケースもありますから注意が必要です。
例えば、「近畿」の二文字を発音通りローマ字表記した「Kinki」が、英語では「奇妙な」の意味を持つ「Kinky」と似た発音になるため忌避されることはよく知られていいますが、「雌鶏」の文字や図柄を商標に用いた場合、中国では「鶏」が「妓」と同じ「ジー」といったケースもあります。
その他、海外市場で登録商標となっているネームと同一・類似のネーミングは当然採用できませんが、登録商標でなくとも海外の特定地域で普通名称・慣用商標となっているワードも、当然避ける必要がある場合があります。

⑥登録性(商標登録要件を具備している)
商品やサービスのネーミングである以上、商標登録要件を満たしていることが必要です。特に販売拡大の局面では、他社による同一又は類似の登録商標の出現により事業そのものに支障を生じるリスクが想定されます。最近の特定国による、いわゆる「先回り商標権取得」の頻発傾向も踏まえ、事業展開の計画を念頭に置いて、国内・海外での商標権取得に耐え得るネーミングを選択することが必要です。

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