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インド VS 欧米 「薬特許」紛争 スイス大手の申請認めず

2013.04.15 14:19

インド VS 欧米 「薬特許」紛争  スイス大手の申請認めず

インド最高裁が、スイス製薬大手「ノバルティス」の抗ガン剤の特許を認めない判決を下し、波紋が広がっている。特許を安易に認めていけば、成分が同じ、より安価な薬の普及を阻害し、貧困層の健康に悪影響を及ぼすとするインドや発展途上国と、特許の侵害は新薬開発の停滞に直結するという欧米の大手製薬会社の主張は平行線をたどるばかりだ。

読売新聞 2013年4月13日 朝刊

医薬特許は人命に関わる場合がある点で、機械分野、電気分野等の他の特許と同じように取り扱うことができないといえます。従って、製薬会社と世界の低所得層との利害対立を如何に調整するかということが重要な課題であると考えます。

確かに、新薬を安く手に入れることができれば治療の幅が広がりますので、低所得層にとっては好ましいことですが、製薬会社は莫大な投資を行って医薬品を開発していますので、その投資を回収して大きな利益を上げることができなければ、製薬会社に新薬を開発するインセンティブが働かず、新薬の開発が進まないという問題が出てきます。

こういった問題を解決するために、製薬会社が国毎に新薬の価格を段階的に設定するということも提案されていますが、こういったやり方では、新興国において安い価格で販売された新薬が新興国から先進国に流入し、新薬の値崩れが起こるというおそれがあります。つまり、新興国から先進国に安い新薬が流入しないように、どうすれば、世界の低所得層だけにジェネリック医薬品の価格で新薬を提供できるかということがポイントになります。

例えば、次のような仕組みではいかがでしょうか? 先進国と新興国とで新薬の価格設定を変えるのではなく、世界中同一価格で新薬を販売し、製薬会社が、その販売数に応じて新興国の政府にジェネリック医薬品との価格差分を還元し、その国の医療制度の中で、その国の国民がその国の医療機関等を通じて新薬を実際に使用したときだけ、新薬をジェネリック医薬品の価格で提供できるようにするという仕組みです。

製薬会社としても、市場規模の大きいBOPビジネスを如何に考えるかが重要であり、新興国とwin/winの関係を構築できるような優れたビジネスモデルを提案していくことができるかが、今後の鍵になるものと考えます。

弁理士 西村陽一

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