意匠登録制度とは?

5.意匠登録制度とは?

1.概要

 意匠登録制度は、量産可能な物品のデザインである「意匠」を保護するための制度です。「物品」とは、運搬可能な動産を意味しており、構成部品が工場生産され運搬可能なことから、組立家屋も物品に該当します。
 インダストリアルデザインの他、テキスタイルデザイン、ファッションデザイン、ジュエリーデザイン、書籍、ポスター、包装紙等も保護の対象になりますが、画像、タイプフェース、シンボルマーク、商標、ショーウインドウのディスプレイ、映像デザイン等については、保護の対象ではありません。
 登録されるデザインは、物品全体である必要はなく、例えば、「コーヒーカップの取手」等の物品の部分についても、部分意匠として登録が認められています。
 また、一組の「紅茶セット」や「応接セット」等のように同時に使用される複数の物品であって、経済産業省令で定めるものについては、全体としてデザイン的に統一されているときは、1つの意匠として登録を受けることができます。

2.意匠権を取得するには

 物品のデザインを創作した者が意匠登録を受けるには、所定の様式に従って願書及び物品の6面図(正面図、背面図、平面図、底面図、右側面図、左側面図)を作成し、それを特許庁に提出(意匠登録出願)する必要があります。
 特許とは異なり、意匠登録出願を行うと、自動的に審査官による審査が行われます。審査官は、出願日以前に同一・類似のデザインが既に世の中に存在しているか否か(新規性の有無)、出願日以前に世の中に存在しているデザイン(公知意匠)に類似していないが、公知意匠から容易に創作できるデザインであるか否か(創作非容易性の有無)を審査します。
 審査の結果として、審査官から許可の可否についてのアクションがあります。新規性及び創作非容易性がある場合は、許可通知としての「登録査定」が出され、新規性や創作非容易性がない場合は、「拒絶理由通知」が出されます。
 「拒絶理由通知」が出された場合は、通常、40日以内に意見を述べる機会が与えられ、出願当初の内容を逸脱しない範囲で補正が認められます。
 「拒絶理由通知」に対して意見書や補正書を提出すると、審査官は、出願人の意見等を参酌して再度審査を行い、許可してもよいとの心証を得た場合は登録査定が出され、許可してもよいとの心証を得られない場合は、拒絶査定が出されます。なお、当初の拒絶理由は解消されたが、新たな拒絶理由が発見された場合は、再度拒絶理由通知が出されます。
 「登録査定」が出された場合は、30日以内に、第1年分の登録料を納付することによって設定登録され、意匠権が発生します。一方、「拒絶査定」が出された場合は、3ヶ月以内に上級審である審判を請求することによって不服申立てを行うことができます。審判を請求すると、3名の審判官の合議体が審査官の判断が適切であったかどうかを審理することになります。
 意匠権の権利期間は登録から20年で満了します。従って、意匠権の権利期間は、特許権とは異なり、全ての意匠権について20年ということになります。
 また、意匠権を維持するには、2年目から各年毎に登録料を納付する必要があり、登録料を納付しなければ、その時点で意匠権は消滅します。

3.意匠権の効力

 意匠権者は、登録意匠及びこれに類似する意匠を独占的に実施することができます。
 従って、第三者が無断で登録意匠を実施すると、意匠権を侵害したことになり、意匠権者は、裁判を提起して、侵害行為の差止、損害額の賠償等を請求することができます。

4.意匠権の利用

 特許権の場合と同様に、第三者に意匠権を譲渡したり、ライセンスにより、登録意匠の実施権を第三者に許諾することができます。

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